0.

全ては、その一言で始まった。
「じゃあ、作るか? ホームページ」

もう一年か、いや、まだ一年か。
色んな思いはあるが、ようやくこのサイトも一周年を迎えた。
その記念に際し、ここに軌跡を書こうと思う。

回りくどい文章でうざったい、と思うかもしれないが、興味のある人は見てくれると有難い。


1.

 まさか、こんな形でこのホームページの歴史を振り返るなんて、夢にも思わなかった。
そもそもこのホームページにそんなたいした歴史があるのか、というと、YES、とは答えがたい。
実際こんなものを書き出したのも、一周年当日を迎えても何一つ準備できていない、全くどうしようもない状況を少しでも改善するべく、といった言い訳に近い理由だ。

 とはいえ、いやいや書いているわけでもなく、そのうち機会があったら書こうと思っていたことだ。
元は我がサイトの小説の大半を書いてくれているブーダンに頼みたかった、が、「面倒」の一言で突っぱねられた。
だから仕方が無く、とりあえず字数書けるだけが取り柄の僕が書いている、というわけだ。

 さて、前置きはこのぐらいにして、そろそろ本題に入ろうかと思う。
まず、現在このサイトを閲覧してくれている人は、初期メンバーも含め、約20人近くいる、はずである。
初期メンバーは、僕(雉鷹)、ブーダン、ジョン、まぐれ、カスガ(うんたん)、の五人 + 管理人ではないが、god、の六人といえるだろう。
開設したのは今回トップページにあるように、11月13日だ。

 ただ、実はこの「容疑者Nの献身」に原型があったのはご存知だろうか?
初期メンバーはもちろん知っていることだが、容疑者Nの献身より前に、もう一つ、僕らのホームページが存在した。
作成されたのは、確か5月か6月頃だった、そして、消滅したのは9、10月頃。
その間に何があったのか、語ろうと思う。


2.

 あの頃は、僕らは中学に入学して、やっと少し落ち着いた、ぐらいだった。
1年2組に属していた僕らは、いつものように他愛の無い話で盛り上がっていた。

そんなときに、誰が言ったのかは覚えてない。
「俺らってホント、バカの集団だな。」なんてことを誰かが言った。
そしてその言葉に、誰かが賛同した。

「じゃあ、馬鹿の集団、なんていうホームページ作ったらどうだ?」冗談のつもりだった。
「それなら、じゃあ、作るか? 馬鹿の集団」こう言ったかどうかは、僕の記憶が曖昧過ぎて覚えてないが、あーたんがそんなようなことを言った。
「え? 作れんの? そんな簡単に?」

――そんなときにチャイムが鳴り、会話は中断された。

 あーたんは、その原型となったサイトの創立者だ。
今、この容疑者Nの献身に来ることは滅多に無い、それに、そんなに来てほしくもない、だから別にいいのだ。

――確か、その翌日か後日か、
ホームページを作る、なんていったことをやや忘れかけてたときに、あーたんに声をかけられた。

「ホームページ作っておいたよ。」あーたんは面白がって言う。
「ええ!? マジで作ったの!?」疑いはしなかった、が、どうも現実味がなかった。

 今思ってみれば、ホームページを作るなんていうことは、簡単なものだ。
お金もかけず、メルアド一つあればそこそこのホームページが一つ作れる。 それが今現在の「容疑者Nの献身」の形だ。

だが、あの頃の僕はパソコン歴はそれなりに長い癖に、そういう知識はまるで無かった。
だから、無駄にその事態が大事に感じたのだろう。 多分、他のメンバーにも、同様の人がいた、と思う。

――僕は、言われた通り、Yahoo!で検索し、エムペ!というサイトを開いた。
「無料HP作成」という表示を見て、僕は元々よくわかってないホームページの仕組みについてもっと混乱した。
ホームページはどういう仕組みで作られ、どういう人間が作っているのか。 あの頃の僕には会社が作っているイメージが強かった。
だから、こんな個人でできるものなのか、と思ったが、今考えてみれば馬鹿馬鹿しい杞憂であり、あの頃の自分と今の自分の差に驚く。

 教えてもらったID、パスを入力し、ログインした。
自動的に管理ページに移動。 そこからは何も教えてもらっていなかったので、とりあえず勘で「ホムペを見る」という項目をクリックした。
すると、新しいウィンドウが開いた。 そこに、ホームページの姿が映し出されていた。

初期の状態は、随分と簡素なものだった。
背景は、現在容疑者Nの献身のゲーム攻略ページと同じものが使われていた。
青っぽい文字で上のほうに小さく「馬鹿の集団」というタイトルがあり、その下には確か、小説、と掲示板しかなかったと思う。

改行含め、四行程度に収まっているホームページ。
だが、僕はそれが現実だということに、言い知れぬ高揚感を抱いた。


3 .

 随分と曖昧な記憶だが、確かその時、小説という項目内には一つだけ、「神成分」という小説があった、と思う。
もちろん僕が書いた小説ではない。 馬鹿の集団の創設者、あーたんが書いた小説である。

内容はSFとアクション、のような小説だった、と思う。
 20XX年の世界では、食物からビタミンが失われ、ビタミンという物質は神の成分、神成分と呼ばれるようになっていた。
希少価値が極端に高くなったビタミンは、高価で取引されるようになり、主人公はそれを盗む、といった話だったと思う。

本人は家庭科の時間になんとなく思いついた、と言っていたが、個人的には結構面白い設定だと思った。
それに、本人の文章力もなかなかで、普通に面白かった、ただ、やたらと改行が多いのがいかにも携帯小説、という感じがしてパソコン閲覧の僕はどうも気に入らなかった、みたいだ。
まあ、今考えてみればどうでもいい、ことで、あれは素直に面白かった。 結局本人は二話程度書いて消してしまったが。

ただ、小説を書く、ということを僕が始めたのは、これの存在が大きかっただろう。
細かいことで長々と書いてしまったが、この「神成分」という小説が現在までに影響していることは間違いない、ということは知っていてもらいたい。

――翌日、僕はあーたんとホームページのことについて話した。
「お前、マジで作っちゃったのかよ。」と一瞬批判的に見える言葉を、多分僕は感謝まじりに言った、と思う。
結局その日はその程度でたいした話は、せず、ただ、周りのメンバーをホムペに誘った。

それから数日かけて、現在の初期メンバー+何人か、が全員一度はホムペに入った。
その間あーたんはチャット等も設備し、ようやくホームページらしくなってきた。

ただ、まあ、多分ホームページに毎日入ってたのは僕、とあーたん(おそらく)ぐらいで、多分他のみんなはそんなにしょっちゅう入ってはいなかったと思う。
今考えてみれば、あのホームページで一番楽しんでたのは僕で、そして色々なことをやったが、多分全部独りよがりなんじゃないかと思う。
その感じは未だにあって、ホームページで何かイベントをやろうとしても、テンションが上がっているのは自分だけ、という悲しい状況はある。
まあ、でも、実際個人のホームページとはそういうものがほとんどなんじゃないか、とも思っているから、自分だけが不幸、なんて馬鹿なことは思っていない。

それはともかくとして、ホームページの編集に僕が手を初めて出したのもその頃である。
その頃僕が作ったのはせいぜい自分のプロフィールと、小説、程度だと思うが、それでも結構大変だった。

 馬鹿の集団の頃、僕は現在の雉鷹ではなく、Nという名前で入っていた。 もちろん由来は苗字の頭文字である。 随分と手抜きな名前だ。
そして、僕がホムペで初めて書いた小説が「science war」である。 現在リメイクして出している。
あらすじ、というと上手くまとまらなそうなのでやめておくが、まあ、SFで、かなりの駄作である。
自分で言うのもなんだが、まあ、話の構成、伏線の数であればそれなりに上手くできてたと思う、問題は文章だ。

恐ろしいことを言うが、あの頃、僕は改行の意味がよく分かっていなかった。
全く、パソ歴は長いのに知識がない、というのはある意味犯罪だな、と思った。
まあ、そんな理由で、改行がなく、字は詰め詰め、読みにくくて仕方が無い。 それに文章も拙く、無駄が多く、必要な点が足りない。

それを意識しすぎたせいか、現在の僕の小説の書き方は真逆になってしまい、現在の欠点は文章が無駄に長すぎるところ、だと思う。
まあ、それだけ読み手にとって、読みにくい小説だった。 書き手にとっては周りを気にせず勢いにのって書けるので、気持ちよかった。
それに、幸か不幸か、あの頃は、更新が早すぎる、としょっちゅう言われていた。 理由はさっきも言ったように、勢いだけで書いているからだ。

最終的には、30話以上書いていた。 多分一番読んでくれていた人でも、10話ぐらいだった、と思う。
全く本当に、あれはしょうもなかった。


4.

 僕が小説を書き始めると共に、現在の「容疑者Nの献身」の小説の半分以上を書いているブーダンも書き出した。 あと、カスガも書いていた。
ブーダンはその頃から面白かったが、文章は僕と同じく、改行がやたら少なかった、というのがあった。 現在はそれも解消されて完璧だが。
ただ、ブーダンに関してはそこが読みにくくても、まだ一話をコンパクトにまとめているので、読むのが疲れる、ということはなかった。
僕の小説は数も多く、読みにくく、一話も長い。 拷問以外のなんでもなかったのかもしれない。

 その頃チャットは、人数が数名で、みんな入る日もバラバラなので、他の人と話せる、ということは本当に滅多になかった。
それに、僕がチャットに入ったときにいるのは、決まってあーたんだった。 それだけ暇、といったら悪いが、ホムペに出入りしていたのが僕と彼だけだったということだろう。
とにかく、現在の「容疑者Nの献身」のチャット入室率とは比較にならない、ほど、あの頃のチャットは入室率が低かった。

 掲示板に関しては、ほとんど僕とあーたんとのラリー、たまにブーダン、という感じだった。
現在の「容疑者Nの献身」の掲示板は、ほぼ僕とブーダンとギガクッパさん、だけである。 掲示板の人数だけは、あの頃とあまり変わりはない。


――そんな調子が続き、やや飽きてきた僕は他のネトゲーばっかやるようになっていた。 ホムペには毎日行っていた。
けれど、ホームページ、という存在に情熱が冷めたわけではなく、むしろその気持ちは強くなっていた。 ただ、あの頃の知識のない僕では盛り上げようがなかった。
とりあえず、部活の大会から帰ってきた日などは、チャットで毎回文字サイズを最大(この設定を加えたのは僕だった)にして意味不明なテンションの高さで喋る。 なぜかやたらと楽しかった。

夏休みに入ると、みんな暇な時間が増え、チャットの入室率が高くなった。
としても、これといった話題がないので、みんないつも他愛の無い話ばかりしていた。

ちょっとホムペにみんな飽きてきた頃、多分八月上旬ぐらいには、通称「タグ戦争」がトップページ上で勃発した。
というのも、みんな、というか主に僕やまぐれなど、タグにちょっとだけ知識がつき、あーたんが変なボタン設置するのに対抗して、色々な文字アート(?)を出現させた。
その頃のトップページは最早、ホームページというよりも悪ふざけにしか見えなかっただろう。

そんなふざけた毎日だった。

 だが、そんなある日事件が起こる。
その事件の原因として、確かに僕が悪かった点は多いが、そこまで怒ることなかろうよ、という思いは今でもある。
少しここで愚痴らせてもらえば、ネット上なんだから、多少みんなテンションが上がって、少しぐらいやらかしてしまうかもしれない。
けれど、それをそんなに批判することないじゃないか……、と思う。

その事件が結果的に「馬鹿の集団」の崩壊を招くことになるのだが、まあ、今は「容疑者Nの献身」として独立できたわけで、今更どうこう言うつもりはない。
ただ、容疑者Nの献身が出来る過程で、このような過去があったことは知っておいてもらいたい。

最初の事件は、リアルタイムで起きた。


5.

 リアルタイム、というのは当時「馬鹿の集団」のサーバー元であるエムペ!に備え付けられた機能の一つである。
有名な例えでいうと、ツイッターによく似ている。 ただ、形式としては管理人が一方的にやるので、言い方によっては、一日に何度でも投稿できる日記、とも言えるだろう。

 で、それはほとんど、というか僕しか使っていなかったのだが、まあ、……やらかしちゃいました(※ここら辺から完全に雉鷹視線なので、敬語になりますがご了承ください)
僕としてはそんなに酷い内容のものは書き込んだ覚えはないんですが、あーたんとスプラッシュには相当批判されたので、まあ、酷かったんでしょう。
で、色々文句言われて、いきなりスプラッシュがリアルタイムを削除しました。

そこまでだったら別にいいんですが、スプラッシュがその勢いのまま、サイト自体も消す、とか言い出したんでこれは、ちょっと阻止しないといけないな、と思ったんですが……
結果を先に言わせていただくと、僕は阻止し損ねました。

 理由はまあ明らかなんですが、順を追って説明します。
最初はスプラッシュがそういうことを言い出したんで、まあ、冗談かな、と思って「やめろよ、消すなよ〜?」とかぐらいのことを言ってたと思います。
ただ、それがガチだったようなので、ちょっと段々危機感を覚えて「僕に対しての文句で他の奴らまで巻き込んでサイト消したりするなよ」とか言ってたんですが……
ここでまさかの、有り得ない不運が起きます(僕に)

夏休み終わる一週間ぐらい前のことでした。

『Internet Explorerではこのページは表示できません』
別にサイトはまだ消えてないんです。 問題は僕の家のPC。
インターネットに、繋がらなくなりました。

というわけで、阻止しようにも阻止できない状態になってしまったわけですね。
僕は万が一のためにもホムペのソース、及び小説データ等をバックアップしようと思った、その時でした。
そして、僕が積もった夏休みの調べ学習系をやっとネットで調べようと思った、その時でした(こちらもオワタ\(^○^)/でしたね)

 運命の神様というのは、残酷なものです(?)
ブーダンなどには、代わりにデータバックアップしといてくれ、と言ったんですが、「やり方分からん」と返され「僕だって分からねぇよ!?」と謎の返答をしてしまう始末。
あーたんは、「一番利用してるN(雉鷹)が来ないんだったら、消してよくない?」と。
いや、来ないんじゃなくて来れないんだからァァ!! てなわけで、「馬鹿の集団」は消滅しました

あーたん曰くスプラッシュが削除ボタン連打したため、削除依頼メールが大量に届いて、ウザくなったのでOK出した、と。

そんなわけで、僕が手を出せない間にあっけなく、「容疑者Nの献身」の前傾である「馬鹿の集団」は消滅しました。

 個人的には、ホムペ自体はまあ、また作れるし良かったんです。
問題は、小説のデータでした。
ブーダンの小説、僕の小説、書いてはすぐ消してたけどあーたんの小説、合わせたらそれなりの量だった筈です。
それを一切バックアップせずに消してしまったわけですから、損失は結構大きかったと思います。

 だから、僕はちょっとイラっときました(笑)
そしてそのときに、かつてカスガと話していた、ある会話を思い返していました。
相互リンク制リア友ホムペ連合(?)という案。

かっこつけて変な組織名作りましたが、要は、あれです。
僕、ブーダン、カスガ、ジョン、まぐれなどそれぞれサイトを作り、相互リンクする形で、コミュニケーションをとる。
それならば、お互いのいざこざで問題になることもなく、自由にサイトを発展させられる、という利点があります。
元々は、馬鹿の集団を中心核として、広げようとしていましたが、難しいし面倒、と言われ却下されました。

ただ、もし作るとしたらどういうサイトにするか、そういう話をしたとき、カスガに言われた「容疑者Nの献身」というサイト名。

もう、馬鹿の集団は消えてしまったのだから、どうすることもできない。
なら、一から新しいものを作ろうじゃないか、今度は、全て自分の手で。

それが、「容疑者Nの献身」の始まりだった。


「話一覧」に戻る  「一周年特設ページ」に戻る